角膜移植

角膜移植

診療日時 火曜日 午前、水曜日 午前
担当医師 木下茂(火曜日)、京都府立医大角膜グループ(水曜日)
対象疾患 水泡性角膜症、円錐角膜、角膜ジストロフィ、難治性角結膜疾患、など角膜疾患全般
治療法 角膜移植、エキシマレーザー角膜手術、など

概略

 さまざまな角膜疾患に対して、適切な診断を施し適切な薬剤を選択して治療します。対象となる疾患は、日常的によく遭遇する再発性角膜びらんや角膜ヘルペス、治療が難しいとされる角膜感染症、角膜潰瘍、化学外傷などです。さらに、円錐角膜や角膜ジストロフィーなどにも対応しています。患者さんの多くは、角膜移植、角膜内皮移植、エキシマレーザー角膜手術等を希望して京都のみならず全国から来院されます。

 角膜移植の手術件数は図に示すように年間150件程度であり、その治療成績は高く評価されています。また、エキシマレーザー、フェムトセカンドレーザーを駆使した角膜手術や角膜クロスリンキング、角膜内リングなども行っています。

バプテスト眼科クリニックにおける角膜移植

角膜移植件数(術式別)

角膜とは

角膜(“黒目”)は、目の表面にある透明な組織で、大きさは直径約1cm、厚み0.5mm前後であり、カメラのレンズと同じ役割を果たしています。角膜の作りは、表面に保護するための皮(「上皮」)があり、その下に角膜の90%を占める透明な「実質」、裏側には「内皮」という、「上皮」とはまた違った膜があります。この「内皮」は単なる皮ではなく、セロハンのような膜(これを「デスメ膜」と言います)の表面に、内皮細胞が重なることなく隙間なく敷き詰められた状態です。内皮細胞にはポンプのような働きがあり、角膜に入ってくる水を汲みだして透明性を維持しています。病気やけがで「実質」が濁ってしまったり(「混濁」)、内皮細胞が傷んでポンプ機能が失われ水ぶくれを起こしてしまう(「浮腫」)と、透明な角膜がすりガラスのようになり、視力が低下してしまいます。「混濁」や「浮腫」は薬では治りませんので、見え方の改善のためには角膜移植が必要になります。

角膜移植について

角膜移植にはいくつかの方法があります。「混濁」の場合、濁った部分が角膜の表面近くだけにとどまっていれば「表層角膜移植術」を、角膜の深いところまで及んでいれば「全層角膜移植術」を行うことで見え方の改善が期待できます。濁りが深い位置にあっても、内皮細胞が正常であれば、内皮細胞をデスメ膜ごと残して実質だけを交換する「深層表層角膜移植術」という方法もあります。いずれも濁った部分を含めて角膜を円筒状の刃物で丸く切り抜き、同様の形に切り取ったドナー角膜を縫いつけます。

内皮細胞だけが傷んで「浮腫」を起こしている場合は、「角膜内皮移植術」を行います。傷んだ内皮細胞をデスメ膜ごと除去し、そこに薄くスライスしたドナー角膜をくっつけて内皮細胞を移植します。内皮細胞を移植するには、ドナー角膜の実質の一部を一緒に移植する方法(DSAEK)と、デスメ膜だけを移植する方法(DMEK)がありますが、いずれも全層角膜移植に比べて傷口が小さく怪我に強いこと、感染を起こしにくいこと、術後の乱視が少ないことがメリットです。

全層角膜移植術前後

手術前①

手術後①

手術前②

手術後②

角膜内皮移植(DSAEK)術前後

手術前①

手術後①

手術前②

手術後②

いずれの方法でもドナー角膜が必要ですが、当院では厚生労働省が定める眼球提供者(ドナー)適応基準に合致したドナー角膜の提供をアイバンクから受けています。

手術後の注意点と通院について

角膜移植後は、いくつかの注意点があります。
まず、角膜移植の傷はとても弱いので、眼を少しこすったり、軽くぶつけた程度でも傷口が開いてしまう場合がありますので、注意が必要です。
また、傷口が開かないように、縫った糸を長期間そのままにしておきますが、その糸に感染が起きる場合があります。特に緩んだり切れた糸を放置しておくと感染を起こす危険性が高くなるので、その場合は速やかに抜糸するか、縫い直します。
さらに、頂いたドナー角膜が自分の組織ではないため、身体の方が反応を起こしてドナー角膜を攻撃してしまうことがあります。これを拒絶反応といい、手術後何年経っても起きることがあります。拒絶反応が起きると角膜が浮腫を起こして急に見えなくなり、すぐに治療しないとそのままドナー角膜が傷んで戻らなくなります。
このような、➀感染症、②拒絶反応のほか、③眼圧の変化などをチェックするため、手術後も定期的な通院と、目薬の継続が大切です。大まかな目安ですが、当院では通常、術後1週間の入院と、退院後は1週間、1か月、3か月、6か月、12か月、その後6か月ごとに通院いただいております。